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第4回環境化学物質合同大会に本研究室大学院生の前原奏太さんがポスター発表を行いました

令和7年7月15日~18日に山形テルサ・やまぎん県民ホールで開催された第4回環境化学物質合同大会に、本学大学院生の前原奏太さん(理工学研究科システム理工学専攻)がポスター発表を行いました。
本大会を主催する日本環境化学会は、1990年に「環境化学研究会」として発足し、現在は一般社団法人として活動しています。環境と化学物質の関わりに関する情報共有や研究発表の場を提供し、機関誌『環境化学』の発行や講演会の開催、環境化学討論会などを通じて、学術の発展に寄与しています。
★前原奏太さんのコメント
発表タイトルは「亜臨界燃焼を用いたLC-IRMSによるハロゲン化合物の炭素安定同位体比測定」です。本研究では、水環境中に広く分布し、環境残留性の高いハロゲン化合物の炭素安定同位体比(δ13C)を、液体クロマトグラフ-同位体比質量分析計(LC-IRMS)を用いて測定することを試みました。特に、従来の燃焼炉では測定が困難だったトリクロロ酢酸(TCA)やトリフルオロ酢酸(TFA)などに着目し、自作の亜臨界燃焼インターフェースを用いることで、高温・高圧下でのハロゲン化合物のδ13Cの高精度高確度分析を目指しました。その結果、TCAについては0.3‰未満の良好な精度・確度が得られた一方で、TFAでは不完全燃焼の影響により、確度や回収率に課題が残ることが分かりました。
学会に参加すること自体初めての経験で最初はとても緊張していました。ポスター発表では多くの方にポスターを見ていただき、様々な視点から質問やアドバイスをいただくことができました。安定同位体比測定を知らなった方にも「面白い研究ですね」とコメントをいただけたことはとても嬉しく、自信にもつながりました。また、自分の研究について説明する過程で、その意義や課題がより明確になり、今後の論文執筆に向けた改善点も具体的に見えてきました。
他の方の発表でもPFASに関する内容が多く取り上げられており、大きな社会課題となっていることを改めて実感しました。LC-MS/MSによる中性PFASの測定手法、レガシーPFAS・新興PFASといった初めて耳にする用語、POPs条約の改定と現在のPFAS分析のトレンドなど、ここでは書ききれないほど多くの知見を得ることができ、大変勉強になりました。
学会期間中は、川島先生や先生とご交流のある方々と昼食・夕食をご一緒させていただきました。研究に関するお話はどれも大変勉強になり、研究への向き合い方や、論文執筆の大切さについてのお話も心に残りました。最初は、自分よりもずっと経験のある方々とお話しすることに緊張していましたが、皆さんとても親切に、ざっくばらんに話してくださり、とても有意義で貴重な時間となりました。今回の学会発表を通して、研究に対するモチベーションと論文執筆への意識がさらに高まりました。
最後になりましたが、指導してくださっている川島洋人先生、研究の相談に乗ってくださった国立研究開発法人産業技術総合研究所の谷保佐知様、日頃から一緒に研究に取り組み、議論をしてくれている研究室の皆さん、そして研究補助をしてくださっている多田里美さんにく感謝いたします。
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