研究内容

生体成分(アミノ酸、核酸)の安定同位体分析法の確立

近年、アミノ酸や核酸(DNA・RNA)といった生体分子の安定同位体比を正確に測定することにより、生命現象の理解や代謝経路の解明に新たな可能性が開かれつつあります。これまで、アミノ酸や核酸は複雑な前処理を必要とし、化合物特異的な安定同位体分析は限られた条件でしか行えませんでした。

当研究室では、LC/IRMS(液体クロマトグラフ-安定同位体比質量分析)およびHRMS(高分解能精密質量分析計)を活用し、アミノ酸および核酸中の炭素安定同位体比の高精度測定法の確立を目指しています。とくに、アミノ酸についてはタンパク質由来の加水分解物を対象に、核酸についてはDNAおよびRNAの単量体レベルの分析に取り組んでいます。

現在は、安定した前処理法の構築、標準試薬による検量線の確立、測定精度の評価などを段階的に進めており、生体成分に特化した化合物特異的同位体分析技術の確立を目指しています。将来的には、食事や代謝環境が生体分子の同位体組成に与える影響の解明や、個体の健康状態の評価など、医学・栄養学・生命科学への応用も視野に入れています。