研究内容
私たちの研究室では、環境中の微小粒子状物質(PM2.5)、農薬類、揮発性有機化合物に含まれる成分ごとの安定同位体比や、食品中に含まれる化学物質の安定同位体比を活用し、新たな発生源解析手法および異同識別法の開発に取り組んでいます。
例えば、浮遊粒子状物質(PM2.5)は多様な化学成分で構成されていますが、硝酸イオンの窒素・酸素安定同位体比やアンモニウムイオンの窒素安定同位体比を高精度に分析することで、それらの発生源や反応経路の特定を目指しています。
また、LC/IRMS(液体クロマトグラフィー・安定同位体比質量分析計)は水溶性有機化合物の成分ごとの安定同位体比を測定する装置ですが、国内では私たちの研究室のみが研究を進めている状態です。これらの装置は、まだ技術的課題も多く残されていますが、装置の改良・測定手法の最適化に加えて、さまざまな応用研究も積極的に進めています。さらに、近年では高分解能精密質量分析計(HR-MS)を用いた安定同位体分析についてもチャレンジしています。
こうした最先端の高精度分析技術を駆使することで、環境問題や食品偽装などの社会的課題に対し、迅速な解決と抑止を実現したいと考えています。
現在、研究テーマは主に以下の6つに分類されます。
粒子状物質の発生源解析
LC/IRMSを用いた有機物質の安定同位体分析法の確立
高分解能精密質量分析計を用いた安定同位体分析
生体成分(アミノ酸、核酸)の安定同位体分析法の確立
揮発性有機化合物の発生源解析
農薬中の安定同位体比を用いた発生源解析